創業明治26年より
京都市中京区にて電気設備工事 
を通じて明るい社会づくりを目指しています。

 

第14話 お得意様のこと3
「明治天皇の落書き」


  さて、永年御所へ出入りさせて頂いていると、一般の方々には経験できな
 い色々なことがあります。
  今回は「明治天皇の落書き」の話です。少し長くなりますが、先代社長山科
 吉三が当社の100年史「道」に記述している文章をそのまま掲載します。
 
 明治天皇の落書き                                 

  多分昭和30年前後のことである。何かのお仕事で御所へ行った時、電気
 係の人が私に珍しいものを見せてあげようとのこと、何であろうかと後につ
 いて行くと、御所も北の方で、多分朔平門の近くと思われる御殿に案内され
 た。そこは多分狩野何某とかの、名のある絵師の描いた風景画のあるふす
 まがズラリと廻してある。そのふすまに黒々と墨で、ふすま1枚に1面ずつ似
 顔絵が描いてある。顔の大きさはどれも15cm〜18cm程で、何れも畳から
 1m30cm〜1m50cm程の高さである。つまり落書きである。
  明治天皇がご幼少の頃、ここで落書きをされたのである。それも隅っこの
 余白に遠慮がちにではなく、堂々とふすまの真中あたりに下に誰の花鳥や
 風景画が描いてあろうとおかまいなしに、墨で黒々と描いてある。計5〜6ヶ
 所あったと思う。
  ふすまはワヤであるが、これが明治天皇の落書きであるから、かえって値
 打ちがある。正に王者のいたずらで、おおらかなもので、しばらくあぜんとし
 て見ていた。
  その似顔絵の筆さばきが、なかなか上手である。その顔やかぶり物から
 受ける感じは、室町以前の人の庶民の顔で、時々古い建物を解体修理した
 時に出てくる工人さんや庶民の顔の調子である。天皇は絵がお上手であっ
 たと思われる。あるいは何かをお手本に、前もって練習してあったようにも
 思えるし、割合低い所に描いてあるので、少年時代とも思う。
  12〜13年前、京都新聞に、明治天皇のいたずら書きとして報道されたの
 は、竹林の竹に添って墨でなすってあるのがあったが、それは単に線を引
 いただけのもので、絵とはいえない。これは初期のいたずらで、私の見たの
 は正に芸術の域にある似顔絵である。きっと他にもあって、段々上達してい
 かれたものと思われる。
  おつきの人もそんなところへ落書きされて、初めはビックリしたに違いない
 が、今は大切に保存されていると聞いている。これを見た人は、部外者では
 余りないと思う。私の自慢話の一つで、商売冥利につきる。
                                              

   いかがでしたでしょうか。明治天皇というと遠い人のように思いますが、何
 だか親しみを感じさせられますね。
                             (第15話をお楽しみに・・・)
  
 


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