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創業明治26年より京都市中京区にて電気設備工事 を通じて明るい社会づくりを目指しています。 |
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第13話 お得意様のこと2 |
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さて、御所からの1回目のお仕事(明治28年)は、御座所から侍従、武官、 舎人その他の人々への呼び出し電鈴及び構内警備用の電鈴、電話工事で した。残念乍ら、今その書類は見つかりません。 以下の話は、先代社長山科吉三の記憶によるものですが、昭和5、6年 頃のある日、店に見事な金色、銀色の卓上押釦が置いてありました。吉三 は兄の喜一(初代社長、創業者吉之助の長男)に聞くと、金色の卓上押釦 (5ヶ所用或は7ヶ所用であったかもしれない)は天皇陛下用、銀色のもの (5ヶ所用)は皇后様用で、別に傷んではいないが、やや色もくすんできたの で、電気的点検も兼ね手入れするように、ということでお預かりして来た、と のことでした。 吉三の回想によると、店に置いてある間にまだ当時少年だった、仕事をし て間無しの吉三は一度釦を押してみようと手を出しかけたのですが、いや いやそんな事をしては罰があたると、急に手を引っ込めたことがあったそう です。 2〜3日店でお預かりし、点検を終え、磨きあげて喜一がお返しに行った のですが、吉三がその時見た感じでは、押釦の出来がしっかりしていたの で、明治28年のものではなかったようです。 卓上押釦の形は大体下の図のようなものでした。せめて写真にでもとっ ておけば良かったと、吉三は悔んでいました。押釦には侍、武、舎とかがあり ました。(侍は侍従、武は武官、舎は舎人)。天皇様用に比べ皇后様用はや や小型であったようだ、と吉三は社史の中で回想しています。
(第14話をお楽しみに・・・) |